初春の湯気たくましき朝湯かな
春の日や漣ひとつづつ光る
春の宵歩けば肺の潤へり
ぺつたりと富士を映して水温む
霞ひく今日は別れの日なりけり
葉から葉へ雨を移せる若葉かな
先生は一際大き夏帽子
夏の雲まだまだ白くなりさうな
炎天の文字のふるへてゐる石碑
緑蔭の背中に芝の強さかな
水馬と水の間にあるちから
手花火の火は液体となりにけり
掌に小さき闇や蛍狩
空蝉を透く午後の日でありにけり
ひぐらしの声して猫の目を覚ます
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焦点のどこまでとなき秋の空
上るとも下るとも見ゆ秋の水
とんばうの時折風に隠れけり
外に出れば目に収まらぬ星月夜
大方は風に消えゆく虫の声
しなやかに葉の月光を乗せてをり
秋ともしグラスを置いて硬き音
桐一葉落ちたる音の届かざる
座りたき椅子に菌が生えてをり
目逸らせばもう見付からぬ落葉かな
人乗せて芝生大きな日向ぼこ
焚火から目を逸らさずに話しをり
光いま氷柱の中にありにけり
だんだんと蒲団になつてゆく体
ともし火に雪あらはれて消えにけり
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