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第18回 日本伝統俳句協会賞
「あそび歌」 椋 誠一朗

一人来て二人来て独楽廻しかな

風花や石で大きく絵かき歌

末の子の手毬つく音裏戸より

日脚伸ぶおはじきあそびきりもなく

口ほどになく竹馬の覚束な

春立つや小さきが負かす紙ずまふ

凍ゆるむ土にビー玉吸はれゆく

招かれてままごと座敷春の日に

陽炎ひて紙ひかうきのよく飛びぬ

缶けりのおにの居さうな春の寺

影指絵つくづく朧なりし夜に

目かくしの鬼が手探る春の宵

あやとりの縦横無尽縁うらら

影ふみのよく踏まれたる苑日永

境内の春日にまぎれかくれんぼ


春昼やじやんけんぽんのとよむ路地

飾り立て草花あそびのどけしや

ポケットにビー玉あふれ風光る

ケン玉で世界一周春日燦

お手玉の瞳も上下沈丁花

釘させば算を乱して蟻の道

全身のはや汗ばみて指ずまふ

石投げやかなかなもゐる里の川

秋夕焼苑にとよもすかごめ歌

縄とびを巧みに抜けて冬ぬくし

神の留守社ふるはせあそび歌

長馬の重さに耐へて息白し

椅子とりに敗れてポインセチアの夜

音もなく冬空を切り竹とんぼ

小さき子もめんこを抱へ日向ぼこ




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第18回 日本伝統俳句協会新人賞
「お伽話」 木原佳子

陽炎や不思議の国に迷ひ込む

つまづける子を沈めたりクローバー

言の葉は人を離れて春の野に

蝶追へば蝶の増えゆく真昼かな

蝶を追ふ子を追うて野のはづれまで

蝶消ゆるころ夕星の光り初む

浮輪の子人魚になつてみたいなと

泳ぐ子を一瞬消して波笑ふ

砂日傘水平線を遠く見て

夏の夜の人魚のうたと海鳴りと

夜のこと語らずにゐる月見草

拾はれぬ貝殻白き夏の果

銀河濃しブラックホール恐るる子

星飛んで宇宙の挿話ひとつ生れ

目に見えぬ星もあるらし星月夜


月白や草木の眠り深かりし

月光の及ぶところに影生まれ

満月も指にて作る円の内

月まるく子どもの夢に下りてきぬ

迷ひなく林檎を赤に塗る子かな

林檎もぐ木より離れし重みかな

愛さるる色や形や林檎食む

色形全き林檎うそひとつ

林檎むく蛇の形に皮落つる

風花や物語読む子の瞳

メルヘンも科学も雪の結晶に

上出来の雪兎にも雪積もる

雪の庭暮れぬ遊びの跡残し

羽蒲団遊び足りたる子を寝かせ

物語聞きつ寝入る子雪の夜



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