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| 特選 |
| 清記番号 | |
| 212 | 蜩の遠ざかりゆく座禅かな | 野田ゆたか |
- 筆者は、小学生の時一度座禅を経験した、といっても学校の授業で真似事? をした程度だが、何となく雰囲気は味わえたように思う。この句は実際お寺での風景だろう。座禅で大切なことは、心を無にする、ということを前述小学校で習ったが、実際蜩が鳴いていても、その声が聞こえなくなるほど心が無になってゆく。蜩の声と、座禅をしている姿との対比が、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
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| 229 | 群青の台風の目の中に有り | よしほ |
- それまで吹き荒れていた台風も「目」の中に入ると、今までの暴風雨が嘘のように晴れ渡る。そして又その目から暴風雨圏に入ると荒れだす、というプロセスを敬虔した方は多いだろう。その事実だけを述べておられるが、その素直な表現から、何か台風の凄まじさとは別の、自然を司る大きな意志のようなものを感じる。小さな人間に対する眼差しも見て取ることが出来る。
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| 835 | 花火果て星座たがへず星戻る | 玲 |
- 晴れた夜空を花火が彩り、そしてその花火も果て、又漆黒の夜空が戻ってくる。当然晴れていても花火によって、その間は星はよく見えないだろう。もちろんその間も星はそこに存在しているのだが、この句は、まるで花火が揚がっている間は星が何処かへ避難しているような表現をしているのが面白い。花火の躍動感、又星も活き活きと描かれており、ロマンを感じさせる句である。
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| 佳作 |
| 清記番号 | |
| 5 | 草原の句碑に傾く銀河濃し | あぶと |
| 96 | 風音を立てて森より秋に入る | 八之助 |
| 122 | 読経終え盆僧友の顔となる | 川原知幸 |
| 374 | 今朝の秋風に乗り来る鳥の声 | ペエペエ |
| 403 | 流星や耳に優しき島言葉 | 英世 |
| 469 | 信号の赤に忙しき秋扇 | 誠山 |
| 488 | 今朝の秋覚めてしばらく風の中 | ペエペエ |
| 492 | 砂時計返し返して秋思かな | かおり |
| 524 | 庭先の葉擦れの軽き今朝の秋 | 豹紋蝶 |
| 538 | 知らずんば美奇さんに訊く草の花 | 弥太郎 |
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| 特選 |
| 清記番号 | |
| 58 | 借景に風鈴ひとつ添へるのみ | 本村照香 |
- 目の前に広がる美しい山河、それを借景として眺めているだけで心が満たされてくる。軒先に風鈴をひとつ吊るして借景に風情を添える作者。清廉・知足を想起させる静かな佇まい。「のみ」が効果的である。
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| 433 | 遠会釈交わして月の客となる | 吉太 |
- 月の名所に出掛けたか、あるいは月見句会であろうか。その席で友人を見かけたが近寄って歓談することもなく、ただ遠会釈を交わして月を愛でる席に加わる作者。月見の席の静けさが伝わってくる。
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| 513 | 日焼して逞しく打てホームラン | 軍鶏児 |
- 熱闘の全国高校野球大会も佳境を迎えている。どのチームも真っ黒に日焼けして大会出場に至る連日の猛練習振りを物語っている。応援する者にとって、「打て!ホームラン」は飾ることのない切なる言葉であろう。「逞しく打て」と命令形にしたことで若き選手たちの躍動感を生き生きと伝え、臨場感を高めている。
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| 佳作 |
| 清記番号 | |
| 56 | 炎天を来て本尊は貸出し中 | のり子。 |
| 57 | 風鈴の短冊ばかりよく廻る | 道里 |
| 67 | 村と村むすぶ吊橋雲の峰 | 本村照香 |
| 124 | 忘れ潮ひとつひとつに雲の峰 | 本村照香 |
| 141 | 輝きの一点となるヨットの帆 | 本村照香 |
| 221 | 天空のほどんど余白揚花火 | 蝦夷のばば |
| 225 | 向日葵を塀にして野の一軒家 | よりこ |
| 522 | 郭公の鳴くや農事のひと区切り | 由美 |
| 545 | わだかまり失せて二人の銀河濃し | 野田ゆたか |
| 689 | 足先の影みな丸し水馬 | 道里 |
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| 特選 |
| 清記番号 | |
| 20 | 涼風やちよこつと屈む少女像 | 桃太郎 |
- 少女の像はもともと屈んでいるのだ。いや、大方の少女の像は屈んでいる。「未来」とか「芽生え」とかの名前を持って。おおよそ不可解な少女像と珍しく持ちえた共感は涼風によってであった。何も起こらないところに惹かれた。
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| 86 | 大西瓜抱えて渡る交差点 | 重田朝歩 |
- 西瓜は、いつも、想像を超えて重い。「凶器は西瓜です」ってことなんかがあってもおかしくないとよく思う。昨日も危うくタクシーを拾おうかと思った。交差点は影のないところ。人の行き交うところ。西瓜運びの中でももっとも過酷なポイントである。ましてや今年の酷暑である。西瓜で殴られるほうがましなほど、日は照りつけてくる。はたから見ればめでたそうな景であるが、本人はそれどころではない。西瓜運びは甘くない。
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| 671 | 朝顔に雲は流れてゆきにけり | 松村ふみもと |
- べつに朝顔でなくてもよいのかもしれない。しかし、朝顔でなければまったく違った句になってしまう。朝、まだあまり人通りもないころ、朝顔は町のいろどりである。雲と朝顔の間にさえぎるものはなにもない。きっと今日も暑くなるのだろう、いや、意外に涼しい一日になるのかもしれない。そんなまだ定まらない、余裕のある時間が感じられる。
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| 佳作 |
| 清記番号 | |
| 55 | うつせみや朝の箒にころびたり | ますみ |
| 96 | 風音を立てて森より秋に入る | 八之助 |
| 153 | 夏の月オペラハウスに来てをりぬ | あや女 |
| 201 | 蝉時雨木蔭に停める郵便車 | 言成 |
| 262 | 今日もまた兄弟喧嘩朝曇 | 千の風 |
| 311 | またひとり後姿や秋の虹 | かおり |
| 403 | 流星や耳に優しき島言葉 | 英世 |
| 489 | 掃き清められし古刹の蝉の穴 | 由美 |
| 495 | 目覚めては眼鏡を探す三尺寝 | 帰山 |
| 765 | 己が影拾ひて去りしあきつかな | 重田朝歩 |
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