1月の俳句
失敗も芸のひとつや猿回し  鈴芽


雷門

仲見世  1月5日小寒。松の内の浅草の賑わいを見にでかけた。戦後もっとも寒いといわれている今年の冬、さすがにその寒の入りらしい冷たさだ。それでも仲見世通りを歩くとほうぼうからせんべいを焼く香ばしい匂いや、人形焼や饅頭の湯気が流れてきて、固くなった身が少しずつほぐれていく気がする。仲見世通りの賑わいは常のことだが、左右から繭玉の飾りが空をせばめ、時折春著姿の人が行き交う光景は、まだまだ正月気分に満ちている。
 「舟町」の大提灯が下がる宝蔵門を潜る。本堂手前、人々はさまざまな願いをこめ、(そして多少は暖をとるため)、線香をもとめては香炉にたて、香煙をかき寄せる。風向きによって煙が目にしみるのも、この時ばかりは有り難い気がするから不思議だ。
本堂 香炉
 お詣りをすませ、本堂に隣接する浅草神社へ。お目当ての猿回しが来ている。猿のジロウを操るタロウさんが、寒さのせいでお客が少ないことを贔屓筋に話している。ちょうど一演目終わったばかりだったらしく、舞台?の端で猿のジロウはヤクルトを飲んでいた。私たちが桟敷の一等席(4,5脚ならんだベンチの真ん中)に陣取ると、入りの悪さをかこちながらもタロウさんとジロウがスタンバイ。ジロウ用のストーブを隅によけて開演!ステージが始まるとジロウの達者な芸と愛らしさ、タロウさんとジロウのかけあいに笑い転げて、写真を撮ることも忘れてしまうほど。終わる頃には幾重にもお客の輪ができていて、すっかり情の移ったタロウさんのためにこちらまでほっとした。 ヤクルトを飲むジロウ
 浅草はまた、興業の街「浅草六区」の呼称でも有名だ。戦前はエノケン、ロッパ、田谷力三ら、戦後は由利徹、渥美清、萩本欽一などが活躍、多くの有名人を輩出している。今では六区ブロードウエイ商店街として映画館や演芸場が立ち並ぶ。この商店街の入り口に昨夏開通したつくばエクスプレスの新駅ができ、観光客がずいぶん増えたという。呼び名は新しくなっても、芝居の幟が立ち並ぶ様は、隆盛を極めた頃の六区をしのばせる情緒豊かな一角となって、道ゆく人々を楽しませている。
六区

(鈴芽)



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