9月の俳句
路地一つ奥に入りても阿波踊  小羽都


阿波おどり
 日本を代表する踊りに阿波おどりがある。情熱的で陽気なこの踊りは見る人にも、踊る人たちにも気持ちを高揚させるものがある。差詰め日本版リオのカーニバルだ。見れば見るほど踊りたくなるし、踊れば踊るほど踊り足りないような気にさせる。
 阿波おどりの起源は盆踊り説、風流説、築城説と三つの説があるが、400年の阿波おどりの歴史の重みは人々の熱気の重さでもあるかもしれない。

 阿波おどりは連と呼ばれる踊りグループに別れ踊り子と鳴り物(三味線、鉦、太鼓、横笛、鼓、締太鼓)で構成されている。連の規模はさまざまである。その中で技量が練達した同好の連を「有名連」と呼んでいる。御揃いの踊浴衣姿でなくても飛び入りで踊ることもできる。まさに『踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損損』である。

 踊りには男踊りと女踊りがある。自由奔放で地を這うような力強い男踊りと両手をさし上げ風を切る仕草に優しさと強さがある女踊りと対照的であるが、どちらにも参加して心ゆくまで楽しめる。女性が男踊りをするのも粋で鯔背でかっこいいものである。それぞれの連の構成は幼児から年輩の方々までさまざまで、取分け幼い女の子や男の子が踊浴衣を着て踊る様は未来の踊り名人を彷彿させる。

 阿波おどりの4日間は街中の路地路地に鉦や三味線、太鼓の音が聞こえる。また、演舞場だけでなく、そうした路地でもどこでも連ごとに高張提灯を掲げ輪を作り踊り出す。さながら徳島の市街全部、全ての建物や人や灯や音が踊るような始めての錯覚を覚えた。

 そして次の日の朝、街は何も無かったように静まり返る。

(小羽都)



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